「校正編」同訓異義とある漫画の話

こんにちは。長壁です。

校正で最も大事なこととは?

「校正」について、基本にかえってみようと
思い、ただ今、本を読み込んでいます。

『実例 校正教室』
発行者 日本エディタースクール出版部

という本を読み返しています。

この本は、私が及部デザイン事務所に入社し
て「校正」について、初めて読んだ本でもあ
ります。

何も知らないど素人だった私が「校正」とは
どういうものなのかを知るきっかけになって
います。

当時の私と今の私でこんなにも違うのか!
と読んで改めて感じました。

社長からは、「校正をやってきた経験がある
今と何も知らない最初の頃で本の内容の理解
度が違うと思うよ。」

と言われ、一番大事な部分を思い起こしてく
れました。
最も大事な「校正は著者の立場を尊重する」
という文を読んだときに、身が引き締まる思
いでした。

「還る」と「帰る」はどう違う?

「基本にかえるって大事なことですね。」
と社長と話していると、ある漫画のワン
シーンの話題になりました。

社長がハマり漫画本を購入。
内容を聞いて、「おもしろそう!」と思い、
借りて読んでみると、どんどん引き込まれて
いき、どっぷりハマっている漫画。
それは、
『ましろのおと』です。

津軽三味線の奏者だった祖父の死をきっかけ
に、弾くことができなくなった主人公が、一
度見失った音を色々な人たちと出逢って触れ
ていく中で、自分の想いと音を探していくお
話です。

『ましろのおと』
著者 羅川真里茂
発行所 株式会社 講談社

こちらはアニメにもなりましたね。
ストーリーはもちろん、言葉の表現がとって
も心揺さぶられるのです。
兄弟、家族との関係性も共感する場面もあっ
ておもしろいなと思いながら読んでいます。

社長と「校正」の基本にかえる話しから、こ
の漫画本に出てくるワンシーンの話題になっ
たのです。

ワンシーンというのは、
「祖に還ろう」という言葉。
この言葉が出てきたのが、12巻。

再びこの言葉が出てきたのが、27巻。
「祖に帰る」

私が、「同じ言葉だけど、“かえる”の漢字が
違いましたね!」と言う話で盛り上がり、校
正の本でも紛らわしい同音異義や同訓異義の
言葉について書かれていたので、これは興味
深いとなりました。

果たして、
これはあえて使い分けているのか?
もしかしたら誤植?

私なりに考察してみました。

辞典で調べた2つの言葉「帰る」「還る」の
意味と「祖」の意味。

帰る…①かえる。かえす。本来の位置にもどる。

『大修館 現代漢和辞典』より

還る…①かえる。かえす。もとにもどる。
   ②《漢文訓読》また。ふたたび。もう一度。

『大修館 現代漢和辞典』より

祖…①おや。父母の親。父の父。
②その家系の最初の人。
③物事のはじめとなった人(もの)。
④受けつぐ。大もとを受けつぐ。

『大修館 現代漢和辞典』より

「帰る」と「還る」に明らかな違いはないよ
うに思います。
「還る」は常用漢字表外なので、一般的には
「帰る」を使う場合が多いです。

本を読み進めていき、再び「祖に帰る」とい
う言葉が出てきたときに、「帰る」にしたの
は、意図があると思っています。

なぜなら、最初に出てきた「還る」では、
“色んな名人の「手」を聴け”というセリフが
あり、津軽三味線の奏者の音の根源を辿るこ
とで津軽三味線の祖を学ぶためだと思ったか
らです。

次に出てきた「帰る」では、音を見失ってか
ら色々な出逢い・経験・想い、そして記憶を
辿り、自分の音の原点に戻ることを意味して
るのかなと思いました。

辞典だけでは、違いを見つけることはできな
かったのですが、この漫画本を通して、その
人が元いた場所に戻るときは、「帰る」で、
受け継がれてきたものや人のところへ戻ると
きは、「還る」なのかなと勝手に考えてみま
した。

なので、私は、あえてこの2つの漢字を使い
分けていると思いました。

漫画本の表現とは。

漢字って奥が深いですよね。
テレビでも放送されていたそうですが、映像
ではこの漢字の違いに気づくことはなかった
です。
漫画本だから、活字で表現されているからこ
そ、気づき、不思議に思い、考えるきっかけ
になりました。

読むきっかけにもなった社長にも感謝です。
たまには、漫画本を読んでみるのもいいです
ね!

同訓異義語にも、明らかな誤字もあれば、著
者があえてその漢字を使っている場合もあり
ます。
校正するときは、勝手に訂正しないこと。
必ず疑問として著者の意図を確認することが
大事ですね。

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