漢字の表記と校正とデザイン

こんにちは。長壁です。


「十分」と「充分」は違うのか。
詳しく調べるきっかけは、
漢字で表す「十分」は時間の10分なのか、不足がないようすの意味の十分なのか。
というブログ記事をアップしました。
社長から、じゅうぶんを漢字で表すとき「十分」「充分」どちらなんだろうね。
社長は「充分」という漢字を使うことが多いかな。
という会話からでした。

何気ない会話ですが、二つの漢字の意味や使い方に違いはあるのだろうか。
と気になっていたのでした。

パソコンなどを使って、じゅうぶんを漢字変換すると
両方出てきます。

辞典ではどうなのか。

小学館
例解学習漢字辞典 第八版 ドラえもん版より
十分・・・足りないところがないようす。みち足りているようす。「充分」とも書く。
充分・・・ものごとがみちみちて、不足がないこと。

何だか意味はほぼ同じと感じてしまいました。

光村教育図書
小学新国語辞典 改訂版より
十分・・・必要なだけあって、不足のないようす。満ち足りているようす。たっぷり。

充分は載っていませんでした。
十も充も小学生で習う漢字ですが、
ことばの意味や使い方を調べるための国語辞典に「十分」のみが載っていたということは、
おそらく、小学校では「じゅうぶん」を漢字で書くとき「十分」と教わるのだろう。

一般的にはどうなのか。


文化庁ホームページより
国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第5期国語審議会 > 語形の「ゆれ」について(部会報告)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/05/tosin04/index.html

“「十分」と「充分」――いずれも普通に行なわれている。憲法では「充分」を使っている。本来は「十分」であって,「充分」はあて字である。”

最近では、かな書きを採用している場合も多いそうです。
また、憲法では「充分」を使っていると書かれているように、
どちらを使っても間違いではないのだとわかりました。

「十分」と「充分」の使い分けについて


ネットで調べてみるといろいろな見解がありました。
十分は、数字の十が使われているように数値的に満たされていることが分かるときに使う。
充分は、感情的に満たされているときに使う。
などなど。

例文を使って比較してみました。
①この部屋は十分な広さです。
②この部屋は私が使うには充分な広さです。

①は、一般的にほとんどの人が広いと認識。
②は、その人にとって満ち足りている広さと感じた。

ほぼ同じ意味なのに、漢字で表すとニュアンスやとらえ方が変わるって面白いですね。

折込チラシ制作で漢字の表現について考えさせられた経験がありました。
英会話スクールの折込チラシ制作でのこと。
「可能性が拡がる」ということばがありました。
広がる/拡がるの二種類あり、実はどちらを使っても間違いではないのです。
一般的には広がるを採用するでしょう。

小学館
例解学習漢字辞典 第八版 ドラえもん版より
広がる・・・ひろい。ひろげる。ひろめる。
拡がる・・・広げる。広がる。広める。

同じじゃん!!と思いますよね。

しかし、あえて「拡」という漢字で表現していました。
ここにはクライアント(経営者)の想いが込められていたのです。
「英語という言葉で、自分の考えを自分の言葉で表現する力を身につけてほしい」
「より多くの出会い、可能性を拡げてほしい」

その手でつかんでほしいという、クライアントから顧客へのメッセージなんだと感じました。
これも“ブランディング”のひとつなのですね。

漢字のなりたちを見たら、拡がるは、手+広 手で広げることを表す。とありました。
なるほど!!
広告物の校正では、表記のニュアンスって正解はひとつではない。
広告の表現て奥が深いです。

【関連記事】

数字の表記
【十分は、10分?じゅうぶん?】