「目線」という言葉の意味と使い方。視線と視点との違いは?

「目線」の由来を初めて知った!目線は視線?それとも視点? ブログ

こんにちは。長壁です。

ことばでニュアンスを伝えるって難しいけ
ど、知れば知るほどおもしろい。
上から目線、下から目線と、話し言葉で使わ
れることがあるけど、
視線とどう違う?
お客さま目線とは?言い換えるときは視線?
視点のどっち?

ことの始まりは、「校閲記者の目」と
いう本。
タメになる内容で読んでいてとても勉強に
なります。

【目線の由来は映画?!】

“毎日新聞出版
校閲記者の目
毎日新聞校閲グループより”

“「目線」は俗語か。”
というキャッチコピー。
「えっ??」と思いました。

私たちが何気なく使っている「目線」という
言葉。
当たり前に使っているので、これを読むまで
疑問に思ったことはありませんでした。

「目線」という言葉は、元々、映画・演劇の
世界で使われていた

演技者が目を向ける方向のことを意味する。

さらに、「上から目線」という言葉も聞きま
すよね。

見下された感じやイラッとする言い方をされ
たときに、言われた側が相手に対してそう感
じたときに使うと思います。

学生の頃とか、一度はあるかなぁと思います
が、あの子の言い方上から目線じゃない?!

こんな感じでしょうか(笑)

話し言葉で使いますね。
辞書で調べたときに、類義語で「視線」と
言葉が書かれていました。

似た意味の類義語ですが、「視線」に言い換
えられるかどうか。
「上から視線」とは言いませんよね!!

おそらく、これって俗語であるがゆえに、
本来の意味とは違うのではないでしょうか。

辞書で調べてみることにしました。

【目線とは】

目線・・・①物を見ている目の方向。(例)カメラ目線
     ②物事を見るときの目のつけ方。(例)国民の目線で政治を考える

光村教育図書
小学新国語辞典 改訂版

目線・・・目の向く方向や角度。視線。

高橋書店 実用国語辞典【ポケット判】

【視線とは】

視線・・・物を見ている目の方向。
目の向き。

光村教育図書
小学新国語辞典 改訂版

「目線」という言葉は新しい?!

他の辞書でも調べたところ、意外なことが
わかりました!

調べた辞書は下記です。
・高橋書店 実用国語辞典【ポケット判】
・大修館 現代漢和辞典
・小学館 例解学習漢字辞典 第八版 ドラえもん版

漢和辞典と漢字辞典には、目線という言葉が
載っていなかったのです!

読んだ本にあるように、一般的に昔からある
言葉ではなく、特定の人たちだけで使われて
いた言葉だったのだと。

しかし、「目線」という言葉が広く一般的
に使われるようになり、
言葉の使い方を調べられる国語辞典では扱う
ようになったのですね。

文章で使う場合、前後の内容や意味をしっか
り理解したうえで使わないと、
相手や読み手にとっては、違う意味でとられ
てしまうこともあるんだなと思いました。

【目線“に”立ってではなく、目線“で”】

本に校閲したときの一例が載っていました。

○○の目線に立って・・・
この場合は、「目線」ではなく「視点」を
使ったほうがいいのでは。
または、目線を使う場合は、目線「に」では
なく、目線「で」と書くそうです。

読んでいて「なるほど〜」と思うばかりでし
た。

【「に」と「で」の使い分け】

話し言葉ではあまり気に留めないのですが、
文章を校正するときは「に」と「で」の使い
分けも大事なのですね!

私たち日本人は自然と使い分けているのが
不思議です笑

いざ、どう違うか説明してと言われたら
「えっと・・・」となってしまう私です笑

これはいい機会だと思い、きちんと使い分け
を説明できるようにしたいと思い
もう一度勉強です!

日本語の文法応用編の教材で調べました。
「NAFL日本語教師養成プログラム」
『日本語の文法ー応用』
著者 小林ミナ
発行所 株式会社アルク
「第5章 助詞」
「第1節 格助詞と文型」より

場所を表す助詞「に」「で」

「に」と「で」は、場所を表す名詞につくと
いう用法を持っているらしくみなさん混乱し
がちとのことです。

例えば、次の文章は「に」と「で」のどちら
が正しいですか?

A 私は今、大阪にいます。
B 私は今、大阪でいます。

C 息子は図書館で勉強をしています。
D 息子は図書館に勉強をしています。

正解は↓
A 私は今、大阪にいます。
C 息子は図書館で勉強をしています。

(場所)に:あるものが存在する場所に用い
られる。=存在しているところ

(場所)で:動作が行われる場所に用いられ
る。=動作が行われるところ

【目線に?目線で?どっち!】

お客さま目線に立って ◯?
お客さま目線で立って ◯?

上記は両方とも使われている気がします。
では次はどうかな?

お客さま目線に考える ×
お客さま目線で考える ◯

動作が行われる場所に用いられる「で」の
ほうが正しいのかなと感じました。

【お客さま目線とは?】

仕事でよく聞く「お客さま目線」という
言葉。

「お客さま視点」とは言い換えられるけど、
「お客さま視線」とは言わないですね。

ここでは、辞書に載っていた①物を見ている
目の方向。ではなく、②物事を見るときの目
のつけ方。という意味の「目線」ですね。

類義語だけれども、
視線は、目が誰を見ているか、何を見ている
か、誰に向かっているか、何に向かっている
か。
つまり、目の向きを意味しています。

目線は、見方や、どの立場で物事や相手を見
るかという意味もあるので、意味を理解し、
上手に使い分けるといいのですね。

【文章で迷ったときは「お客さま視点」】

お客さま目線もお客さま視点も、今では似た
意味で使われています。

「目線」は、元々、演技者が目を向ける方向
という意味で映画や演劇の世界で使われてい
た言葉。

目を向ける方向という意味で、目線は「線」
の意味のほうが強いと思いました。

「視点」は対象物のどこを見るかという
「点」を意味しています。

お客さまの立場になって考えたり、お客さま
の気持ちになって考えたりするという
「お客さまを見る」という意味では、
「お客さま視点」を使うほうが合っているの
かなと私は考えました。

みなさんはどうですか?
いろんな意味に変化していく言葉はたくさん
ありますが、使い分けも難しいなと感じまし
た。

似た意味の言葉の使い分けはややこしい
ですね笑

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