自力で不動産登記申請をしてみた!(後編)

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及部です。

弊社からの年賀状が届いた方、お待たせしました。
たらいまわし事件の詳細です。

長くなるので結論だけを先に。

ローンを返し続けている期間中は
お役所の口車に乗って
安易に土地の合筆はすべきではない。

今回の件では
あまりふだん接することのないことをたくさん学べました。
「わからないことは、とにかくわかる人に聞く」
その重要性をあらためて認識しました。

相当なレアケースかと思いますが
ご参考までに。

 

1.ことの起こりは御上による「地図作成」

2017年のことです。
前橋地方法務局からこの一帯の「地図作成」にご協力を、という旨の連絡が来ました。
私の住んでいる地域が昭和初期にアバウトに作成された地図しかないので
正確に測量しなおし、隣接する家同士であらためて境界を確認し、
目印の鋲を打ち、正確な地図を作成するという大がかりなものでした。

まず説明会への参加を促され(←忙しいので欠席)
留守中でもかまわないということで測量が行われ、
境界確認の日は家に居ろ、と言われ
その当日。

法務局の担当者から
我が家の土地は購入したときから小さな土地が2筆だったところ、
「後々楽になるので合筆されたらいかがですか?」とすすめられました。

お役所のいうことです。
疑問に思ったり断ったりしてはいけないと、
DNAに組み込まれていますw。悲しいことに。

念のため
「まだローンが終わってないのですが、
銀行での変更手続きが必要になりますか?」
と確認したところ、

「あ、それはしなくて大丈夫です」
とのご返答だったので、
すすめられるままに「合筆」を了承したのでした。

 

2.銀行ローンの金利改定の時期がやって来た

住宅ローンを組まれた方はご存じかと思うのですが
数年に一度、その後の返済を固定金利にするか変動金利にするかの
選択を迫られます。
また、それを何年にするかでも金利が変わってきます。

昨年末で今までの「10年固定金利」が終了するので
変動金利にしたくなければ、新たな手続きをしなくてはなりませんでした。

お知らせにはインターネット・バンキングだと手数料無料とあったので
そちらで済ませようとしたら、
スマホアプリの「ワンタイムパスワード」が使えなくなっている!

PCからアクセスしてよく読むと
スマホを機種変更する際には
古い方の端末からワンタイムパスワードの設定を一旦解除し、
その後新しい端末でもう一度登録しなければいけないそうなのです。
こんなこと、誰も教えてくれなかったし~!

そして新しい端末やPCからでは、もう解除できません。
犯罪予防ということなのでしょうね。

その場合は申込書に記入して契約店舗での手続きに行かなくてはなりません。
(以上は私の取引銀行の場合です。ご了承ください)

どうせならこの手続きと、
手数料がかかってもローン金利の手続きを
一度で済ませてしまえば楽ちん♪と思って
車で15分くらいかかる銀行まで出向いたわけです。

すると、ご担当から
「店頭でのお手続きの場合、金利を下げるご提案ができます」
とのありがたいお話が!

ただし、その場合は審査があるとのこと。
その日は、そのご提案に乗る申込書にサインをして
帰宅したのでした。
(結局、当初の目論見通りに一度で済ますことはこの時点で不可能になりました)

 

3.このままだと審査が通らない

後日、銀行のご担当からお電話いただきました。

審査のために、担保になっている土地と建物の登記を確認したところ
土地は合筆されていて、建物はそのまま。
つまり、書類上では
この世に存在しない地番に建物が半分乗っている、ということになってしまっている。
合筆した理由の申請と、建物の所在変更がないと
審査を通せない。

とのことでした。
銀行にしてみればやはりそうでしたか。そうだよねぇ。

合筆の理由については「法務局の地図作成」でご納得いただけました。
建物の所在変更に関しては
その銀行とお取引のある土地家屋調査士に見積依頼をしてみるとのことで
その日の電話は終了したのでした。

 

4.「悲しいお知らせです」

電話をとるなり、銀行のご担当がこう切り出しました。

「見積が来たのですが、¥64,800だそうです」

はぁぁ~~???
所在地を変更するだけで¥64,800?

その理由は「測量を行うから」とのことでした。
なんで?
建物は何もいじってないのに?

アバウトな地図が正確な地図に変わっただけなのに?
しかもそれって、私の意思ではなく
お役所がお役所の都合でやっただけなのに?

どんなに金利が安くなっても
それがこの手数料で飛んでいくわけ?
それってめちゃくちゃ本末転倒!

ご担当からは
「他で相見積もりとられますか?依頼しますか?」と聞かれたので
知り合いもいないし、
もとをただせば前橋地方法務局の一言から始まったことなので、
電話して確認してみる、と答えて電話を切りました。

 

5.前橋地方法務局に抗議の電話

この時点で当時の記憶がよみがえりました。
法務局の担当者はこう私に言ったんです。

「後々楽になるので合筆されたらいかがですか?」

主語は誰だよ?
図面をおこしたり、固定資産税を計算する人?
私ではないことは確か。
だんだん腹が立ってきました。

そして前橋地方法務局に電話しました。
私の腹づもりはこうでした。

「そちらの担当者がテキトーなことをぬかしてくれたおかげで
私は¥64,800もの負担をしなくてはならなくなりました。
どうしてくれるんですか!
つきましては組織として責任をとって
法務局の方で所在地変更をすましていただくか
もっとお安い土地家屋調査士を紹介してください!」

もちろん、言い方は控えましたよ。
でも同じ主旨のことを申し上げたところ

「それはできません。タウンページで探してください」とのあっさりとしたご返答。

粘りました、私も。

「だって、法務局の人には銀行手続き必要ないって言われたんですよ。
しかも所在地の変更だけなのに、測量するからって¥64,800ですよ。
そちらの都合でこうなっているのに
おかしいと思いませんか?」

と言ったら、急に相手の様子が変わり

「測量?なんですか、それは。
測量は私ども法務局で責任を持って行うことであって
すでに終わって、国の正式な書類として登記されたものがあるのに
必要ないはずですよ!」

あれれ?

「所在地変更の手続きなら、ご自分でもできます。
高崎支所にまず電話して相談してみてください」

そうなの?

この時点で、私は初めて
素人でも不動産登記申請ができることを知ったのでした。
そんなことホームページにはわかりやすく書かれてないけど。
むしろプロに依頼する方向に誘導される作りになってるけど。

その後は、前編で書いた手順通りにことをすすめ、
法務局3回+銀行2回+銀行の方が弊社に1回のやりとりで
無事、登記完了&銀行審査完了となりました。
¥64,800と言われた申請費用は
公図と建物図面閲覧の印紙税(¥450×2)だけですみました。
ローンの支払いも、月々¥5,000ほど下がりました。

公図の閲覧申請をする時点で
法務局の窓口担当の方ともちょっとしたゴタゴタがあり
「これだから公務員はぁぁぁ!」という叫びを
胸にしまった瞬間が再度ありましたが、
結果はオーライなのでよしとしました。

 

6.共感って大事

前編でも書いたとおり
法務局高崎支局で相談員のかたからたくさんアドバイスをいただきました。
その時のことです。

「所在地の変更と言っても、あらたな図面が必要なので
建物図面の変更までする方はほとんどいませんね。
みんなそこまではしない。面倒だから」と言われました。

「結局、合筆なんてしなきゃよかった、という話なんですね」と愚痴ってみたら
うなづきながら
「現場の人間もなんでそんなことを言ったかな」とポツリ。

その瞬間に、

ああ、目の前にいるこの人は
きっとかつて法務局の中では上の方に居た人で
定年後の今、嘱託として相談員をされているのではないかしら?
そして今のスタッフ達の対応に「そうじゃないだろう?」と思うことがたくさんあるけど
今は上司じゃないから呑み込むこともたくさんあって
それでもかつての部下達への愛情がこんなふうに言わせているのかしら?

なんていう妄想が一気に私の頭の中を駆け巡り、
すっかり今までの腹立ちはどこかへすっ飛んでしまいました。
私に対して「申し訳ない」と思っていただけているのが伝わってきたからです。
そして、私がおかしいと考えているのと同じ所で
「おかしい」と感じていただけていると思えたからです。

私のように広告制作に携わっている立場では
よく耳にする言葉ではあるのですが、
本当に、共感って大事なんだとしみじみ思いました。

私自身、クライアントやエンドユーザーに対して
きちんと共感しながら
今後もお仕事に取り組んで行こうと
あらためて感じました。

前編はこちら
https://www.oyobe.com/wp/自力で不動産登記申請をしてみた!(前編)/

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