社内でのコンセンサス

社内のコンセンサス「えっ?そこ?」 ブログ

こんにちは、及部です。

前回のブログの中で
「ここ、書いてあることはわかるんだけど
 いまいち意味がわかりづらい」と
弊社スタッフの長壁からチェックが入ったところがありました。きびしーw。

①今まで納得し合えていたはずのことがそうでもなかったり、
②敵対しているように感じていたことが実は同じ事を言っていただけだったり、
③たった一つの言葉の齟齬が下手な伝言ゲームを巻き起こしていたりということに
参加者の皆さんが気づいていただけることを目指します。

ということで、今回は
私としてもとても興味深く記憶に残っているエピソードをひとつ。

社内でのコンセンサス「顧客」という2文字の熟語から捉えるイメージのズレ

英会話スクールの教室用ブランディングポスター制作にあたり
定例ミーティングを設定していただきました。
その初回でのことです。

参加者は、執行役員、運営責任者、マーケティング担当、
日本人講師代表、アカデミック責任者2名。

このアカデミック責任者とはネイティブ講師を統括するイギリス人ですが
日本語がとても流暢なので
ミーティングは日本語で進行してました。
どのくらい流暢かというと
「わからないことがあったら他の参加者に聞いてくださいね」という意味の
英文メールを送ったら
日本語で「お気遣い恐れ入ります」という返信が来るくらい
ご堪能でいらっしゃいますw。

最終ゴールは7連作のブランディングポスター制作ということだったので
7枚分それぞれのテーマを決めましょう、というのが
この回の目的でした。

そこで、
「顧客に一番伝えたいことは何ですか?」と質問し
1人ひとりに発言を求めたところ、
なぜかだんだんと空気が重くなり・・・。

最後はアカデミック責任者がどばばばば〜っと話し始めて
ミーティングは空転!
結局ほとんど結論も出ないままその日は終了してしまったのでした。

これではヤバい!

家に帰ってから考えました。
なんで、あんなことになったんだろうと。
毎回あんな会議なんだろうか?
あんな状態でコンセンサスがとれるんだろうか?

そして一つの仮説に辿り着きました。

私の質問は
「顧客に一番伝えたいことは何ですか?」でした。
どうやら「顧客」という2文字の熟語から捉えるイメージが
イギリス人と日本人でずれていたようなのです。

イギリス人の二人は「顧客」という言葉から
英会話を学ぶ楽しさに目覚めて、
何年も継続してスクールに通ってくれている生徒さんをイメージしたようです。
最も関係の深い顧客です。
マーケティング的にも理にかなってます。

対する日本人は「顧客」という言葉から
英会話を学びたいと思って通い始めたけれど
何らかの理由で挫折し、早期に辞めていった人たちをイメージしたようです。
自分たちにはもっとできることがあったんじゃないか?
自分たちが何かを変えれば継続してくれたんじゃないか?
そのような意見が多く出ました。
日本人の「お・も・て・な・し」の心がそうさせたかもしれません。
気持ちはホントによくわかります。

でも二人のイギリス人は
日本人たちの意見を聞いているうちに
「あなたたちが仕事をちゃんとやっていない」と責められているように感じたかもしれません。
なので、どばばばば〜っと
「自分たちは十分頑張っている!」とアピールしだしたかもしれません。

【解決策】顧客の声を書き出す

次の回では
そんな視点で作った4種類のカードに
今まで実際に聞いたことがある顧客の声を書き出す、というワークをしました。

A.前向きに通い続ける人たち
B.前向きでなくても通い続ける人たち
C.後ろ向きにやめていく人たち(ネガティブな理由でやめる人たち)
D.前向きにやめていく人たち(目標達成した、他にやりたいことがみつかったなど)

ワークに取り組む前に
イギリス人の二人は「顧客」と聞いてAをイメージし、
日本人はCをイメージした。
これが「異文化」であって
ネイティブ講師たちが頑張っていることは
みんなちゃんとわかっているし、認めているはず。
そんなふうにお話ししてみました。

するとどんよりとした重たい空気は晴れ、
ミーティングはスムーズに進むようになったのでした。ちゃんちゃん。

これと同じようなことは
おそらく今後
日本人同士の間でも起きやすくなるのではないかと考えます。

なぜなら、M&Aはもとより
中途採用が増えたり
社内分業が確立されたりすると
「社内異文化」というのが多くなりそうだからです。

【まとめ】社内でのコンセンサスがとりにくい時の解決に繋がる糸口とは。

あのカルロス・ゴーンさんが日産のCEOに就任されたとき
真っ先に取り組まれたのが
社内用語の再定義だったと記憶しています。

日本人同士の場合は
お互い日本語のネイティブ・スピーカーなので、
「言わんとしていることは〈当然〉通じている」という思い込みがあったりして、
さらにややこしい盲点が生まれることもあります。

社内でコンセンサスがとりにくい時は
その内容ばかりではなく、言葉の捉え方のあいまいさにも
着目してみてください。

「えっ?そこ?」と言いたくなるような些細なことが
解決に繋がる糸口だったりするかもしれません。

【このカードワークについてはこちらもどうぞ↓】

【前回のお話「インナー・ブランディングとは」はこちらへ】

【次回のお話「わかりやすく解説ブランディングの基本」はこちらへ】

【コンサルティング業務についてはこちらへ】

タイトルとURLをコピーしました