インナーブランディングとつなげる力

図で解説!!「転換」「改革」「改善」 ブログ

「組織には階層がある」階層を分けて考えてみよう

こんにちは。及部です。

クライアントの担当者はあんなによろこんでくれていたのに、
上層部の鶴がカーと鳴いて
最初から作り直し!


私のように広告制作のお仕事をさせていただいている皆さんは
こんな経験を一度はされたことがあるのではないでしょうか?
ご担当者の方の立場からすると、
上司と外注先の板挟みになって、
胃が痛くなられた方もたくさんいらっしゃるかもしれません。

また、
プレゼンで上層部からのOKは取り付けたのに
担当者の方にぐちゃぐちゃにいじられた!

こんな経験もおありかと思います。

若い頃、上司や先輩から
「そういうもんなんだ」とよく言われたものです。
「人によって好みは違うから」と。

そういう場合もたしかにあるんだと思います。
でもこれって本当に「好みの違い」だけで起きているんでしょうか?

だって、とっても不合理だと思うんです。
時間も手間も予算も無駄に浪費します。
そして、誰も楽しくないです。
それほどに個人の「好み」は重要なものなんでしょうか?
それって「広告戦略」と言えるんでしょうか?

そこで「なんで?」と考え続けたわけです。

そして、一つの仮説に辿り着きました。

組織には階層がある。
   ↓
その違いや繋がりがあいまいになっていて
階層の違いが当事者達に認識されていない。
   ↓
バラバラに動く。
   ↓
評価基準もバラバラになる。

前回と同じ図を見てください。

インナーブランディング-組織の階層図

組織の中の考え方には階層があるよ、という図です。
上にあるほど優先されるというのが
基本的なセオリーです。

このあたりの用語解説はさまざまで、
しかもそれぞれに色々な定義があるようです。
②と③を合わせて経営戦略という言葉のほうが一般的のようですが、
おおかたの経験上、考える人や決済する人が違うようなので
経営方針と運営戦略に分けてみました。

経営方針が理念に基づいた理想の姿のイメージとすれば
運営戦略とはそのためのシナリオづくりですね。

そして、何か変更があるとき、
どの階層に変更があるかで呼び方が違います。

図で解説!「転換」「改革」「改善」とは

インナーブランディング-組織階層の解説図


会社が存続する限り、再構築されることはあっても
よほど例外的な場合を除き、変わることがないのが「理念」です。


経営方針が変更されることを「転換」と言うそうです。
方針の転換です。
当然、トップの意思決定によってなされる変更なので
経営者が変わる時に起きやすいです。

あるべき売上高やあるべき人員計画やあるべき組織図など。

または理念の実現のために
何を一番大事にするか、という点を考え直すのも
方針の転換と言えそうですね。
人なのか、成果なのか、それとももっと別の何かか?

後者の変更って、実はとても大変らしい。
それまで醸成された文化をひっくり返すことになるので
働いている人たちは苦しいと感じる。
組織としての転換と同時に
一人ひとりの意識改革が求められます。


経営方針が変われば
さらに具体化されたシナリオである運営戦略も変わります。
このレベルの変更を「改革」というそうです。
経費やマニュアルの変更、他部署との連携を伴う変更のことのようです。
誰かが企画立案し、トップの承認を必要とするような変更です。


たくさんの人たちの日常業務に関わる
現場レベルでの変更を「改善」というそうです。

上長への報告、承認のみで行える変更のことです。
このレベルの改善で成果があったという事例には
ことかかないのではないでしょうか。

広告制作というのは
大抵がこの変更に伴い、顧客に周知するために行われます。
問題は、どの階層で変更になったのか?です。

【実例】インナーブランディングとつなげる力

古い話で恐縮ですが、たしか2005年のことです。

当時私は学習塾のお仕事をさせていただいていました。
クライアントからのオーダーは
「前年にも使用したDMの微修正」ということでした。
イベントの日程や使用する写真を
新年度にともない変更するという作業ですね。

担当者からすると
コスト削減という「改善」をしたかったんだと思います。
それが第1の目的だったので
新しく制作することはせず、微修正で。
請求額とともに、
私たち外注スタッフの時間や労力も下げていただいたんだと思います。

ところがトップからのNGが!

担当者からの第一声は「好みに合わなかったみたい」。
そして、微修正で済む範囲の指示をくださいました。
それでもさらにNGが!

よくよく話を聞いてみると
2002年から、新学習指導要領が実施されました。
いわゆるゆとり教育です。
その後の2004年には、OECDの学習到達度調査で
子どもたちの学力低下が大問題となりました。

このことを大きく取り上げたDMにして欲しい、というのが
トップの意向だったのです。
学習塾ですからね~。

でもこれって多分、戦略の話なので「改革」です。
または受験対策だけでなく、学校以上の学びをという
その学習塾にとっての方針の「転換」なのでした。

その時の状況を図にするとこんな感じでしょうか。

インナーブランディング-組織階層図-はしご-転換・改革・改善

はしごがはずれてしまっています。

「転換」「改革」と「改善」に
つながりがありません。

今振り返ると、
担当者は真面目な方だったんだと思います。
普段からコスト削減と言われ続けていたので、
それを忠実に守ろうとした。

でも、「転換」や「改革」を
自分の業務の中でつなげて考えることができなかった。
そして、上にあるほど優先されるというセオリーが
自分の業務に忠実であるがために見えなくなっていた。

経営陣もスピードに追われる中で
どう変化させたいのかを一度で伝えることができなかった。

決して「好みの違い」ではないですよね。

デザインは目に見える形を作る作業なので
言葉だけで話し合うより
このはしごがはずれている状態を暴いてしまうことがあります。

このあと、
できる限りの修正をさせていただきましたが、
日程がなかったこともあり
トップの方に妥協を強いてしまったことは
想像に難くありません。

本来ならゼロ・スタートで作り替えるべきだったんだと思います。

【まとめ】インナーブランディングとつなげる力

インナー・ブランディングとは
このはしごがきちんと掛けられているかを
確認する作業なのだと思います。

きちんと掛けられていればOK。
はずれていたら掛け直す。
どんな階層の変更でも耐えられるように
もう一度見直す。

そのためにも目に見える形を素材にして、
コミュニケーションをとっていくというのが有効だと考えています。

余談ではありますが、
弊社ではランチを食べながら
話題になっているニュースを例に
「どこのはしごがはずれてる?」という話題で盛り上がる日があります。

桜を見る会は①と②?
かんぽ生命は③と④?
いや、そもそも民営化になったときに①を再構築できなかったのでは?
という風にです。
階層に分けて考えてみる練習です。

板挟みになったストレスを感じるときは
どことどこのはしごがはずれているかチェックしてみていただけると
意外な気づきがあるかもしれません。
よかったら一度試していただけると嬉しいです。

こちらのサイトでは違う用語を使い
違う視点で書かれていて、とてもわかりやすかったです。
参考にさせていただきました。

https://organization.design/事業戦略-と-組織戦略-組織課題フレームワーク-第2回-90829e14192e
山田裕嗣 / Yuji Yamada – 組織のカタチより

前回のお話はこちら↓

「わかりやすく解説 ブランディングの基本」

【関連記事】

タイトルとURLをコピーしました