こんにちは。長壁です。
先週のブログ記事【“ら”抜き言葉】について
いかがでしたか?
動詞の活用についても調べて書きましたが、
活用を覚えておくことは、正しい使い方か
どうかを見分ける大事な基礎だということを
私自身、改めて感じました。
今週は【“さ”入れ言葉】についてです。
本当は“さ”が不要?
使役の助動詞には「せる/させる」が
あります。
他の人(第三者)に何かをさせる意味です。
本来、助動詞「せる」がつくはずなのに、
不要な“さ”を入れて、「させる」になってい
るのが【“さ”入れ言葉】です。
例えば、
・「送る」→「送らさせる」
正しくは「送らせる」
・「読む」→「読まさせる」
正しくは「読ませる」
・「書く」→「書かさせる」
正しくは「書かせる」
活用がポイントになります!
先週の活用の種類は覚えていますか?
もう一度おさらいです。
【活用の種類】には、
未然形(〜ない)
連用形(〜ます)
終止形
連体形(〜とき)
仮定形(〜ば)
命令形
があります。
語幹がどう活用するかによって、5種類に
分けられます。
①五段活用
②上一段活用
③下一段活用
④カ行変格活用
⑤サ行変格活用
使役の助動詞「せる」なのか?「させる」なのか?
見分けるポイントは活用の変化した部分
です。
未然形(〜ない)にしたときに、
ない の前の語の母音が「あ」になるときの
①五段活用は、「せる」になります。
・送る(おくる)→ おく(ら)ない
ない の前の母音が「あ」だから、
「送ら・せる」
・読む(よむ)→ よ(ま)ない
「読ま・せる」
・言う(いう)→ い(わ)ない
「言わ・せる」
未然形(〜ない)の前の語の母音が「あ」
以外になるとき②上一段活用③下一段活用
④カ行変格活用は、「させる」になります。
・見る(みる)→ み ない
②上一段活用だから、「見・させる」
・食べる(たべる)→ たべ ない
③下一段活用だから、「食べ・させる」
・来る(くる)→ こ ない
④カ行変格活用だから、「来・させる」
「さ」がないのはいいの?使役の助動詞ではない「見せる」
使役の助動詞ではない「見せる」とは。
A.
友達に海外旅行の写真を見せたり、体験談を
聞か“せる”。
こちらの文では、使役の助動詞は
「聞か“せる”」です。
「見せたり」の「見せる」は、他の人に
何かをさせる動作ではなく、話し手がする
動作になります。
「見る」の変化形ではなく、「見せる」と
いう動詞。
使役の助動詞は、見る(みる)→ み ない
②上一段活用だから、「見・させる」になる
からです。
B.
子どもに英語を習わ“せ”たいので、
パンフレットを見“させ”てもらえますか。
こちらの文では、他の人に何かをさせる動作
なので、「習わ“せる”」「見“させる”」は
使役の助動詞ですね。
「〜(さ)せてもらう」
「〜(さ)せてくれる」
その動作や行為に、第三者が何らのかの形で
かかわっている場合に使われます。
姉が図書館で本をたくさん借りたので、
一冊読ま“せてもらいました”。
ポイント!
そこでの動作や行為が、話し手にとって、
うれしいこと、よいことだということ。
うれしくないことを表現?
「〜させられた」
夏休みになると、お母さんに毎日、本を
読ま“せられた”。
第三者がかかわる自分の動作や行為であって
も、それが話し手にとって、うれしくないこ
と、よくないことの場合。
【「動詞」+使役の助動詞「(さ)せる」
+受け身の動詞「(ら)れる」】で作られた
文を「使役受身」と呼ぶそうです。
普段何気なく使っている日本語ですが、言葉
の基礎に還ると、校正校閲でもすっごい役立
つことに気づきました。ブログ記事を書くと
きにも、相手に読みやすい文章を表現するた
めには大事な基礎になりますね!
【参考教材】
『NAFL日本語教師養成プログラム
11 日本語の文法−応用』
著者 小林ミナ
発行所 株式会社アルク
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