こんにちは。長壁です。
表記ゆれに悩むあなたへ
ひらがなの「できます」と
漢字の「出来ます」はどっちが正解?
制作案件で表記ゆれが発生したので、
調べた結果。
動詞の「できます」はひらがなにしたほうが
いい。
なぜだろう?
理由は常用漢字表に載っていないためです。
では、漢字で「出来」を使うときはどんな
ときだろう?
漢字とひらがなの使い分けをお伝えします。
「できる」の意味と使い方
「できる」の意味と使い方を辞書で調べて
みました。
できる【出来る】
①仕上がる。(例)お菓子ができる。
②作られる。(例)金でできたメダル。
③物事が起こる。生まれる。(例)急用ができる。
④それをする力がある。(例)スキーができる。
⑤優れている。(例)勉強がよくできる子。「参考」①〜⑤とも、ふつう仮名書き。
小学新国語辞典 改訂版
監修 甲斐 睦朗
光村教育図書
「できる」を漢字で表記すると「出来る」
です。
ただ、辞書にも載っていたとおり、動詞とし
ての意味で使う場合は、「ひらがな」表記
が一般的とのことでした。
公用文でも「できる」とひらがなで表記しま
す。また、新聞でも同様にひらがなです。
漢字の「出来」を使う場合
漢字で「出来」という言葉を使うときは、
名詞や複合語(二つ以上の単語によって
形成された語)のとき。
例えば、「出来合い」「出来心」など「出来」
の漢字を使うときです。
・ でき【出来】…できばえ。できぐあい。
小学新国語辞典 改訂版
・ できあい【出来合い】…すでにできあがっていること。また、できあがっている品物。既製。
・ できあがる【出来上がる】…すっかりできる。完成する。
・ できごごろ【出来心】…その場で、ふとうかんだ思い考え。
・ できごと【出来事】…世の中に起こる事がらや事件。
・ できそこない【出来損ない】…できぐあいの悪いこと。
・ できだか【出来高】…①仕事などのできあがった量。
・ できたて【出来たて】…できてすぐ。できあがったばかり。
・ できばえ【出来栄え】…できあがりのようす。できぐあい。
監修 甲斐 睦朗
光村教育図書
辞書で調べてみると、「〇〇は仮名書きに
する」と記載されているのですね。
紙の辞書は校正には必須です。「そうだっ
たのか。」と新たな発見があり、かなり助け
られています。
知ってる?「しゅったい」と読む専門用語
「出来」といえば別の読み方があるのを
ご存じですか?
それは、
「しゅったい」と読みます。
意味は、一度印刷されたものが再度印刷
されること。
私は、ある漫画を読んで初めて知ったの
ですが、専門用語で「重版出来」という
言葉があります。
『重版出来!』
著者 松田奈緒子
私が社長から借りて読んだ漫画です。
“重版出来とは、一度出版された書籍を
再び、または何度も印刷されることを
「重版」。その重版が出来上がり、書籍と
して販売することが「重版出来」。”
「しゅったい」という言葉は専門用語で、
「来」を「たい」という音読みは常用漢字に
も載っていないので、小学生が使う辞書に
は載っていません。
「重版出来」という言葉を初めて見たとき
に私は「何と読むのかな?」と思ったぐら
い、「しゅったい」とは読めませんでした。
漫画からも学ぶことが多いです!
校正の現場から「表記ゆれにどう対応する?」
校正をしていると、表記ゆれにはよく遭遇
します。
私が校正で赤字を入れる際に気をつけて
いること。
それは、「理由も伝えること」です。
原稿や校正紙に、ただ赤字を入れるだけ
ではなく、「できます」をひらがなにしたほ
うがいい理由をクライアントやデザイナー
の社長に伝えるようにしています。
誤字脱字なら正しい表記の語句を赤字で
入れるだけでもいいのですが、
漢字でもひらがなでもよい場合もあります。
そんなときは、〇〇の理由から「漢字表記
をおすすめします」とか、「ひらながのほう
が一般的とのことです」などの説明をつけ
るようにしています。
なぜなら、決めるのはクライアントです。
迷ったときに判断できるよう赤字を入れる
ことも校正のお仕事だと考えます。
今までの経験からと、社長から「なぜ?」と
聞かれ、最初のころは「ええっと…」と私は
言葉をよくつまらせていたのです。
自分がよくわかっていないのがバレバレで
した。
それからは、きちんと調べて理由も説明で
きるよう努めています。
そうすることで、クライアント側も納得でき
ると思います。
私も調べてみて「初めて知った!」なんて
ことも多々ありますので(笑)
【まとめ】今日から迷わない!「できる」の使い分け最終チェック
「できます」「出来ます」の使い分け。
動詞の「できます」を使う場合は、ひらなが
表記をおすすめします。
名詞や複合語の「出来」を使う場合は、
漢字での表記をおすすめします。
使い分けで迷ったときに役立ててもらえた
らうれしいです。
【関連記事】
【校正の関連記事】
Comment