初めて広報担当になった方へ
こんにちは。長壁です。
「デザインには一定の見え方がある」とは?
あるデザイン書を読んでみたところ、デザ
インをよく知らない人が思い込んでいるこ
とや、勘違いしていることがわかりやすく
丁寧に書かれていました。
私もその内の一人です。
デザインは「目的」に沿って考えられている。
「デザイン事務所に勤めているのだから、
デザインに詳しいのでは?」
「デザインの仕事をしているってこと
でしょ?」
など、思う方もいると思います。
しかし、私はデザインの学校に通っていた
こともなく、過去に同じようなお仕事に就
いたこともない普通の主婦パートです。
それでも、デザイン事務所で働くように
なり、グラフィックデザイナーである社長
の側で校正などの担当をするようになって
から、「デザインというお仕事に対して、
形になって目に見える部分より、見えない
部分を考えたり調べたりする時間のほうが
多い。」ことを知りました。
ある本を読んで、「最初は私も勝手な思い
込みや勘違いしていた部分が多々あった
な。」と気付かされました。
『美大式 ビジネスパーソンのデザイン入門』
著者 稲葉 裕美
発行所 株式会社 翔泳社
私も借りてこの本を読んでみました。
その中で色や形の話が出てきました。
デザインは主観や好みではなく、「目的」
に合った印象を持ってもらうために計画し
ている、ということです。
例えば、緑色が持つイメージとは?
私は「自然」「植物」「癒やし」という印象を
持ちます。
調べてみたら、“緑色は、自然、安らぎ、
平和、調和、成長、安全、成功といった
ポジティブなイメージを連想させる。”
とありました。
文化や宗教によって例外はあるそうです
が、人は特定の視覚情報に対しておおよ
そ一定の感じ方をするそうです。
緑色が持つイメージも10人中8人ぐらいは
同じようなイメージを持つということ。
なぜ緑色?非常口マークに隠されたデザインの意図
みなさんも目にしたことがある「非常口の
マーク」ですが、使われている色は緑色
です。
先日、私が子どもと病院に行ったとき
でした。
診察室の前で順番待ちをしていたところ、
上に「非常口のマーク」を目にしました。
学校やショッピングモールや駅など、いろ
いろな所で目にするマークの一つです。
緑色が当たり前で、「なぜ緑色なの?」と
考えたこともありませんでした。
でも、そこにはちゃんと理由があるのです。
なぜ「緑色」なのか?
なぜなら、火災の時に目立つ色だから。
色相環で見ると、緑の反対の色は赤で、
赤い炎に囲まれた場合、一般的に目立つ
色が緑なので採用されたそうです。
非常口マークの目的は、火災や緊急の時
に安全に避難できる場所を迅速に認識さ
せ、避難を誘導すること。
その目的に合ったマークと色が設計され
ていると言えます。
言われれば「なるほど〜」と思います。
社長から「色弱の人には認識しづらい色の
組み合わせじゃないかな?」
「数十年前から色弱の人たちにも配慮した
色使いで設計されていると思う。CUDOが
監修に入っていると思うよ。」
という話を聞きました。
CUDOとは、
「NPO法人 カラーユニバーサル機構」のこと。
人間の生まれつきの色の感じ方(色覚)は、大きく5つの型(タイプ)に分けることができ、色の感じ方は異なります。また、色覚は病気や老いによって変わることもあります。こうした人間の色覚の多様性に対応し、より多くの人に利用しやすい配色を行った製品や施設・建築物、サービス、情報を提供するという考え方を「カラーユニバーサルデザイン(略称CUD)」と呼びます。
出典:CUDとは NPO法人 カラーユニバーサル機構 CUDO
私にとって身近なところだと、子どもたち
が使っている教科書にも採用されています。
裏表紙を見ると「CUD」のマークがありました。
安全標識の色にも意味がある!
標識などの色について調べてみたら、
事故防止や緊急避難を知らせる標識には
日本工業規格(JIS)の「安全色」が使われ
ているそうです。
「安全色」には、赤・黄赤・黄・緑・青・赤紫
の6種類あります。
これらの色が前規格から13年ぶりに改正
されたのが2018年4月。
改正後は黄みを上げたり、明度をやや
上げるなどしてあるそうです。
多様な色覚を持つ人々の安全標識に対す
る認識性を向上させるため、ユニバーサ
ルデザインカラーを採り入れ、CUDOが
改正委員として協力したことを調べて知り
ました。
一言で「緑色」といっても、再現する色の
種類はたくさんあり、他の色との組み合わ
せによっても読みやすさ・見やすさを考え
る必要がありました。様々な人たちにとっ
て最適な色はどれか?という観点で色や
形を設計していることがわかりました。
人によって色での判別が難しい場合もあ
るから、世界共通のマークを決めているの
ですね。
【事例で解説】クリンサーブさまチラシ制作
デザインも同じことが言えると改めて実感
した案件がありました。
以前、ブログ記事でも紹介した
「クリンサーブ」さんのチラシ制作です。
キャッチコピーの「エアコンクリーニングは
どこまで分解するかで選んでほしい!」や
全体的な色はブルー系になっています。
社長が言っていたこと。「今回なぜブルー
系にしたかというと、以前制作したクリン
サーブさんの名刺やロゴに合わせたから。
目的は、クリンサーブさんがやっている
エアコンクリーニングであるということが
伝わること。」
「目的に沿っていれば赤でも何色でもいい
んだよ。ただ、難しい。チラシを見た人に
エアコンクリーニングであることが伝わる
か。クリンサーブさんのイメージと合うの
か。中身を読んでもらえるのか。問い合わ
せにつながるのか。」
社長はさらに、文字や地色などの色の
組み合わせにも注意していました。
今では使っているイラレ(Illustrator)の
ソフトには、「簡易的な色覚シミュレーショ
ンを行う機能」がついているので、毎回
この機能でも確認していることを社長から
聞きました。
つまり、クライアントの好みやデザイナー
の好みで色を決めてはいないということ
です。
目的に合った印象を持ってもらうためには
どれが最適なのかを考えて設計されてい
たのです。
デザイナーは「見る人」を一番に考えている
デザイナーは、見る人のことを一番に考え
て色も再現しています。
クライアントから「ここの色をこの色にして
ほしい」という修正指示は一番堪えるとい
うことですね。
もし、理由もなくその人の好みで言ってい
るとしたら、デザイナーさんの中には「パワ
ハラだよ〜。」と思ってしまう場合もあるかも。
私も勝手な思い込みはせず、疑問に思っ
た場合は、「なぜこの色なのですか?」と
聞くようにします。
そうすることで、目的を共有できるからです。
色の正解はひとつじゃない。
「デザイナーはいろいろな観点から考え
一番最適な方法を選択しているんだ」と
改めて実感しました。
デザイン会社に初めて依頼するという方に
とって少しでもお役に立てていたらうれし
いです。
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