こんにちは。長壁です。
初めてデザイン会社へ紙媒体のデザイン
制作を発注した際、
デザイン会社から「チェックをお願いしま
す。もし修正箇所がありましたら赤字を
入れてください。」と言われた。
担当者「赤字?」「赤字を入れる?」
と、戸惑う方もいらっしゃるのではないで
しょうか。
「赤字」と聞くと、多くの方は「決算上の
欠損」という意味を思い浮かべるかもしれ
ません。
デザインや印刷業界では、もう一つの
「赤字」の意味である「校正の書き入れ」を
指します。
私も及部デザイン事務所に入ってから
知った言葉でした。
校正の「赤字」とは?
校正の赤字とは、一般的に印刷物の校正
刷り(印刷所で仮に刷ったものを言う)に
書き込んだ修正指示のことです。
例えば、誤字脱字や表記や日付の訂正、
文章の追加や削除、改行など修正を指示
することです。
目立つようにするために赤鉛筆や赤ペン
で記入することから「赤字」と呼ばれてい
ます。
最近ではPDFデータやパワポ
(PowerPoint)のデータ上に直接入力す
る方もいますが、弊社ではアナログな方
法を採用しているので、弊社での方法を
ご紹介します。
また、弊社ではグラフィックデザイナーの
及部がデザインしたものを、社内のプリン
タで出力し(だいたいは原寸サイズ)、
出力した校正紙(初校)に赤字を入れます。
「赤字を入れる」とは?
赤字を入れるとは?
クライアントからいただいた原稿などを
校正紙と照らし合わせて校正します。
校正紙に修正指示などを赤字で書き込む
ことを「赤字を入れる」と言います。
クライアントから初校に赤字で修正指示
が入ったら、それを基にデザイナーが修
正作業を行います。
修正されたデータは再校(2校)と呼ばれ
ます。
再校では、赤字の通りに修正されている
かチェックします。
ここでのポイントは、修正した箇所だけで
なく、文章全体の流れも含め、全体を改
めて確認することです。
修正するときに意図せず入っていたはず
の文字や文章が抜け落ちてしまうことも
ごく稀に起こり得る。
そのため、弊社では修正箇所以外の部分
も念のためチェックするよう心がけています。
その修正指示は相手に伝わっていますか?
赤字を入れるときに大事なことは、
「修正箇所や修正内容が相手にきちんと
伝わるようになっている」こと。
実際にあったケースとして、
「枠で囲まれた部分に、情報整理してQR
を追加してQRからも申し込みできる文言
の追加」という指示がありました。
「情報整理」とは?
①枠内の要素を減らしてスペースを確保
してほしいという意味か?
②それとも削除という意味か?
と弊社代表は推測に迷いました。
相手方には、
“「情報整理」の意味が
今ひとつ理解できなかったのですが
全面がオレンジの四角で覆われていたの
で「削除」という意味で解釈しました。”
と、お伝えしました。
結果的に、こちらから出した修正した
データで問題なくOKをもらえました。
もちろん、弊社の解釈がクライアントの意
図と異なっている可能性も考えられます。
そのため、できれば「〇〇という理由から
この文言は削除」のように、修正理由を
具体的に示していただけると、誤解を防ぐ
ことができます。
なぜ校正紙に赤字を入れるのか?
では、なぜ校正紙に赤字を入れるの?
口頭ではなくデータや紙で残すのは、
正確を期すため、
そして修正の履歴を残すためです。
「電話のほうが早い。」
「口頭で伝えたほうが効率的。」
世の中でいうタイパ(タイムパフォーマン
スの略)を考えたら、時間や手間を端折り
たいと思う人もいます。
しかし、電話やリモートで打ち合わせを
し、その場で修正箇所を伝えておしまい
だと、「言った、言わない」のトラブルが
起こる可能性もあります。
そのため、弊社では「正確性」と「履歴」を
残すために、校正紙に修正指示を入れて
もらっています。
これを「赤字」と言っています。
具体的な赤字の入れ方
具体的に赤字の入れ方は?
赤字の入れ方はシンプルです。
例えば、誤字があった場合は、誤字を◯
で囲んで引き出し線(線で引っ張って余
白に正しい文字を書くため)を書いて、
その先に修正する文字や数字などを書き
込みます。
「1字の直し方」
「文字などを挿入する」
「長文を挿入する」ときの赤字の書き方は
下記の記事をご覧ください。
赤字を入れる際の注意点
赤字を入れる際に注意することがあります。
パンフレットなどのページものの場合、
例えば写真を変更するという修正では、
同じ写真が他のページでも使われている
可能性があります。
しかし、赤字が1箇所のみだったら。
もし他のページにも同じ写真が使われて
いたら…見落とし!!してしまうかもしれま
せん。
弊社では、他のページに赤字が入ってい
なかったとしても万が一を考え、全ページ
に同じ赤字があるかどうかもチェックして
います。
「誤植は怖いことではなく恥ずかしいこと」
と私は社長から教わりました。
恥ずかしい思いをしないためにも、いや、
私ではなくクライアントに恥ずかしい思い
をさせないためにも、赤字には細心の
注意を払ってチェックするよう心がけて
います。
赤字の入れ方は企業でさまざまですが、
基本を覚えておくとデザイン会社とのやり
取りもスムーズになると思います。
私は、長年デザイナーとしてさまざまな
クライアントの方とお付き合いのある社長
のもと、広告代理店で長く弊社担当とし
て校正も行ってきたBさんのもとで教わっ
た経験があります。
最初は何もわからない私でも経験して
少しずつ学んできました。
この情報が、これからデザイン制作を発
注する方のお役に立てればうれしいです。
【関連記事】
Comment