「ことばの表現」〜いとおしい-いとしい〜

“お”こんなにも伝わり方が違うなんて ブログ

こんにちは。長壁です。

またひとつ、
日本語の意味を知り、ことばが持つ表現を学びました。

突然ですが、
みなさんは、NHK朝ドラ『スカーレット』をご覧になっていますか?
私は録画して見ているのですが、ふと目にとまった言葉がありました。
それは、週ごとにかわるタイトルです。
「いとおしい時間」というタイトルを見たとき、
いとおしい?
とても趣がある言葉だなと思ったのと、
「いとしい」とは意味が変わるのかな?と思いました。
何となくわかるようで、わからない。
違いはあるのでしょうか?

仕事用バックに忍ばせている実用国語辞典【ポケット判】で調べてみることに。
「いとしい」という言葉は載っていましたが、
「いとおしい」は載っていませんでした。
こちらの辞典は携帯用です。もしかしたら、もっと多くの言語が収めらてれいる辞典には載っているのかも。
と思いつつ、社長にもこの話をしてみました。

社長とはよく朝ドラについて話すことがあるので、「いとおしい時間」について話してみました。
社長は、「語源が違うんじゃない?」
    「【いと/おしい】がもとになってるのかな?」
    「いとおしげとは言うけど、いとしげとは言わないね」などなど、ちょっとした朝ドラトークタイムをしました!

後日改めて調べてみました。


光村教育図書
小学新国語辞典より
いとしい・・・かわいくてしかたがない。いとおしい。

光村教育図書
小学新国語辞典より

国語辞典では、「いとしい」の意味に、「いとおしい」と載っていました。
やはり同じなのかな?
社長が話していた【いと/おしい】で調べたら何かわかるかもと思い、
古文に関することばを調べられる古語辞典で調べてみました。

大修館書店
古語林より
いと・・・①非常に。たいそう。 ②(下に打ち消しの語を伴って)それほど(〜ない)。③本当に。まったく。

愛し(をし)・・・①いとしい。かわいい。愛している。
「愛し」も「惜し」も本来、愛着が深くて手放せない意。
愛しはめで愛する気持ちが強く、それゆえに手放せない気持ちが強いと惜しとなる。

とありました。

大修館書店
古語林より

現代語では「愛し(をし)」という表記は残らず、「惜し」が残っている。

いとほし(いとおし)・・・①かわいそうだ。つらく気の毒だ。②かわいい。いじらしい。③困る。嫌だ。つらい。
いとし・・・①かわいい。②かわいそうだ。気の毒だ。
この「いとし」は、「いとほし(いとおし)」が変化した語だったのです。

大修館書店
古語林より

ことば一つに、こんなにも深い意味があるとは驚きでした。
「いとおしい時間」ということばには、愛着が深くて手放せないという古語の意味も含まれているのかなぁと私は思いました。

このことばを調べたときに、過去に制作した英会話スクールのパンフレットを思い出しました。
パンフレットの未就学児のコースを紹介するページでした。


その文章の中には、『音を聴き分けられる』『英語を聴いた経験』という文があり、『きく』という漢字に『聴く』を使うことの意味をもう一度考えさせられた制作でした。

一般的に、きくというと「聞く」を使うと思います。
しかし、あえて「聴く」を使う理由とは。


「聴く」は、注意して聞く。聞きもらさないように耳をかたむける。という意味です。
「聴」という漢字は中国からきた漢字です。
古くから、耳を使うだけでなく、人は十分に目を使って相手を見て、一心にきくことが大切という意味が込められているそうです。

こちらは、漢字を「聴く」にしたことで、
子どもたちが耳だけではなく、目や口、身体を使ってきこうとしている様子を感じることができます。

ことばや漢字を変えただけで、こんなにも伝わり方が違うのだと、
朝ドラを見て改めて思いました。
ことばが持つ表現の奥深さをまたひとつ知るけっかけとなりました。

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